真ん中のドの音とオクターブキーを押したレの音は隣り合う音なのに指がたくさん動きますよね。
1.オクターブキーの押す位置を間違えていませんか?
【親指の押さえ方の良い例】
まずチェックしていただきたいのはオクターブキーを押さえる位置です。
この画像のように親指の先で押さえられているでしょうか?
この押さえる位置が次の画像のように指の腹で押さえている状態(オクターブキーから指が飛び出ている)ですと、左手のサイドキーに手が触れてしまう可能性が高くなります。
【親指の押さえ方の悪い例】
このような状態では左手の親指から人差し指までの間で距離がとれませんのでサイドキーに触れないようにするためにどうしても過剰に手首が上がった状態になりがちです。
そうすると左手の薬指のキーが遠く感じられ、結果薬指の動きが他の指に比べ遅くなることになります。
これは次の項目のようにオクターブキーをまたいだときに音がひっくり返る原因になります。
2.ド→レに行くときに音がひっくり返る人は左手薬指に注目!
オクターブキーをまたぐ操作をする時にこの動画の例のようなひっくり返り方をすることがないでしょうか?
これは先ほども申し上げましたが、左手の薬指が遅れることが原因で高い「ラ」の音にひっくり返ってしまっています。
この左手の薬指のキーは一瞬でも遅れるとダメなんですね。このキーが塞がっていない状態と同じ音が鳴ってしまうんです。
なのでオクターブキーをまたぐ時は他の指よりもこの左手の薬指を速く動かす意識を持って演奏してみましょう。
3.親指の動き方は大丈夫ですか?
特にこのチェック項目は速い動きをするときに問題になるのですが、オクターブキーの操作はこのような親指の動き方で出来ていますでしょうか?
【オクターブキーの操作正しい例】
ちょっとわかりにくいかもしれませんので補足説明をすると、はじめから親指の先がオクターブキーの上に乗っていて、親指の角度を少し変えることによってオクターブキーを押さえているのですね。
なのでサックスを演奏する時は左手の親指がつねにオクターブキーの上にあるようにしましょう。
【オクターブキーの操作の悪い例1】
この例は親指が普段オクターブキーの上に乗ってなく、オクターブキーを押すときだけスライドさせて押してしまっています。
最初の内はこれでも間に合うかもしれませんが、だんだんと曲が複雑になるにつれ指の動きが間に合わなくなってきます。早いうちにこの癖は直しておきましょう。
【オクターブキーの操作の悪い例2】
この例はオクターブキーの操作をするときに一度親指を浮かせて押さえてしまっています。
この方がすごく作業が大変なような気がするのですがどうしてもこのような押さえ方をしてしまうという方が中にはいらっしゃいます。
こうした親指の動かし方をしてしまうという方は、普段から肩がとても上がっていて「いかり肩」のようになっていることが非常に多いです。
鏡の前に立ってみてご自分の鎖骨を見てみてください。まっすぐ水平になっていますか?それともVの字に上がっていませんか?
鎖骨がVの字上がってしまっている方は肩甲骨が上に上がったり横に広がってしまっています。鎖骨が水平になるように肩甲骨を少し下に下げ、真ん中に寄せましょう。
4.ドの音程が低いので音色がつながらないという人はまずチューニングの位置をチェック!
ここからはオクターブキーをまたぐ時のなめらかさを追求したお話になります。
ドからレや他のオクターブキーを押した指に行くときに音色が違いすぎてなめらかにつながらないと感じることはないでしょうか?
もちろんドの音はキーの大半が空いている音ですが、レの音はほとんどのキーがふさがっていますので音色の差が少なからず生じるのは仕方のないことです。
しかし、極端に音色がつながらないという場合はチューニングの位置に問題があるかもしれません。
チューニングの位置が抜けすぎていませんか?
サックスはマウスピースの抜き差しでチューニングを合わせますが、結論から申し上げると私はこれをあまりいじりすぎない方が良いと考えています。
一般的なセッティングですとアルトサックスの場合コルクが1センチくらい余る位置にマウスピースを入れますが、チューニングのAの音を合わせる時にこの位置から大きく逸脱して抜きすぎてしまっている方がたまに見受けられます。
そもそもこのチューニングの時に使うオクターブキーを押したファ♯の音は高くなりやすい音です。
その音を基準にマウスピースを抜いてチューニングをしてしまうと他の音が低くなりすぎてしまいます。
おそらく真ん中のドの音程が低いと言っている方は隣合うレやミやファの音が高くなりやすい音にも関わらず、そちらに基準を置いてしまっているので相対的にドの音が低く感じられているのではないでしょうか?
そうするとドの音を強く噛んで音程を取ろうとしてしまうため、ドの音が痩せてギリギリとした音になってしまうのだと思います。
なので、真ん中のドの音が変な音がするという方はチューニングの時にファ#の音だけで合わせるのではなく真ん中のド(もしくはド#)の音や一オクターブ下のファ#の音もチェックし、全ての音が正しい音程に合わせられる場所にマウスピースの位置を調節しましょう。
ちなみにサックスは基本的に、音程が上ずっているものは口の噛み具合で調節可能ですが、音程が下がっているものは口の噛み具合ではほとんど調節出来ません。
これは特に低音域でわかりやすいのではないかと思います。低音域で強く噛むと音が一オクターブ上にひっくり返ってしまいますよね?
マウスピースの位置は全ての音を正しい音程に合わせられる位置に入れておかなくてはなりません。その位置が大体コルクが1センチくらい余る位置ということなんですね。
なので初心者の方にはチューニングという行為自体のやり方は覚えて欲しいですが、ファ#を合わせるためだけにマウスピースを抜きすぎてしまうことがないように気をつけなくてはなりません。
5.オクターブキーを押した音から押さない音にスラーでつながらないという人はアンブシュアをチェック!
サックスを吹くときの口の形のことをアンブシュアといいます。
オクターブキーを押した音から押さないドより下の音へ飛ぶときに必ずタンギングが入ってしまうという方はこのアンブシュアが適切ではない場合があります。
この場合は強く噛みすぎている場合が圧倒的に多いです。
正しいアンブシュアでくわえられているかどうかをチェックする簡単な方法があります。次の動画を見てください。
噛む強さが適切かどうかをチェックする方法
【適切な場合】
これはオクターブキーを押さない低い「ソ」と高い「ソ」をタンギングなしでオクターブキーの操作のみで行ったり来たりしているのですが、噛む強さが適切ですとこの動画のように口で細かく調節をしなくてもスムーズに音が移動してくれます。
このチェックは左手の親指でやると無意識に音域によって噛み具合を変えてしまう場合もありますので、あえて右手でオクターブキーを操作しても良いかもしれません。
【噛みすぎている場合】
この例は強く噛みすぎている場合です。
かなり大半の方がこのようになってしまうのではないでしょうか?
オクターブキーを押した後に下の音に戻ってくることが出来ず、ずっと同じ音が鳴り続けてしまっています。
そのため下の音域に飛ぼうとするときにタンギングなしでは行けなくなってしまっているのですね。
【息のスピードが足りない場合】
噛みすぎていた口の力を緩めた途端こうなってしまったという方はいませんか?
高いソの音がひっくり返り「ゲロゲロ」という感じになってしまっています。
生徒さんでこのような状態になる方は非常に多いのですが、私はなぜこんなことになってしまうのかが実は長年わかりませんでした。
今回この動画を撮影するにあたって私は腰を丸めて猫背にしお腹の力を抜いて吹きました。そうしないとこの音が鳴らないのです。
なので口を緩めた途端このような事になってしまったという方はまずご自分の姿勢をチェックしてみましょう。
そして軽くお腹に力を入れて息のスピードを上げましょう。
まずは指の動きに要注意!そのあとアンブシュアもチェックしましょう。
以上が5つのチェック項目でしたが、いかがでしたでしょうか?
特に最後の5つ目の項目は全体の奏法にも関わる部分ですのでたまにチェックしておきたいですね。
最後に5つの項目をもう一度おさらいしたいと思います。
1.オクターブキーを押さえる位置
2.左手薬指の動き
3.左手親指の動き方
4.チューニングの位置
5.アンブシュア(噛む強さ)
指の動きに関しては無意識にやってしまっている場合もありますので、先生や周りの方にチェックしてもらっても良いかもしれませんね。
以上が「真ん中のドからレの動きが上手くいかない!という人のための5つのチェック項目」でした!
この記事が皆さんの楽しいサックスライフのお手伝いとなれば幸いです。
ここまでお読みくださいましてどうもありがとうございました。