音程(2)までは変化記号(♯・♭)の付いていない音程の判別のみを扱いました。
音程に関する最後のこの記事では変化記号の付いている二音間の音程の判別方法・複音程・転回音程について扱います。
変化記号の付いている二音間の音程の判別の手順
変化記号の付いている二音間の音程は以下の手順によって判別されます。
- 付けられている変化記号を外し、音程を判別する
- 変化記号を付けた時に音程がどのように変化するかを考える
- 音程の拡大・縮小に応じて響きの種類を変更する。
以下、解説をしていきます。
1.付けられている変化記号を外し、音程を判別する。
※以下、音部記号は全てト音記号とする
例としてこの音程を判別していきます。
まずこの例1の場合ミの音に♭が付いていますので、一旦この♭を取り除きましょう。
すると、このようになります。
この場合、ドーミの音程は3度
そしてド-レ-ミの中に半音は含まれていませんので長3度となります。
2.変化記号を付けた時に音程がどのように変化するかを考える
ここで鍵盤を見て考えるとわかりやすいのですが、ドーミに比べてドーミ♭は音程が縮小しています。
どれだけ縮小しているかというと半音です。
3.音程の拡大・縮小に応じて響きの種類を変更する。
ここで音程の響きの種類がどのようなルールで変更されるのかを学習しましょう。
- 同音(完全1度)はそれ以上狭めることは出来ず、減1度は事実上存在しません。
- 完全音程も長・短音程も変化記号の付け方によって増・減音程に変化しますが、どのような変化記号の付け方をしても完全音程が長・短音程に、長・短音程が完全音程に変化することはありません。
この例1においては、変化記号をつけない場合は長3度です。
そこから音程が1段階縮小していますので、分類が一つ左に動き、短音程に変化します。
そして、3度であることに変更はありませんので例1の音程は短3度という解が導かれます。
もう少し例を見ていきましょう。
この例2において上記の3つの手順を踏んで音程を判別すると
1.付けられている変化記号を外し、音程を判別する。
ドーミ・・・長3度
2.変化記号を付けた時に音程がどのように変化するかを考える
ミが半音上がることによって半音拡張されている
3.音程の拡大・縮小に応じて響きの種類を変更する。
長音程が1段階拡張すると上記の表において右方向に分類が1つ動く。
よって解は増3度です。
補足)異名同音程
上の例のドーミ♯の増3度を鍵盤で確認するとこのようになります。
ドーミ♯の増3度とドーファの完全4度は譜面上の表記は異なりますが鍵盤上では同じ音程に該当します。
このような2つの音程を異名同音程といい、ディミニッシュコードなどのやや複雑なコードを理解する上で欠かせない予備知識となります。
問題5)次の二音間の音程を答えよ
※音部記号は全てト音記号とする
問題6)記譜されている音符の上下に、指定されている音程を構成しなさい。
複(複合)音程
9度以上の音程は15度で2オクターブに達します。
複音程は各単音程に7度を追加した形で表記されます。
響き方の種類についても各単音程の種類がそのまま使用されます。
転回音程
2音うちの一方をオクターブ上下に移動(上方の音を1オクターブ下方へ、下方の音を1オクターブ上方へ)することを音程の転回といいます。
転回によってできる音程が転回音程ですが、元の音程と転回音程との間には次のような関係が保たれています。
度数の相互関係
【元音程の度数】ー【転回音程の度数】
1度ー8度
2度ー7度
3度ー6度
4度ー5度
5度ー4度
6度ー3度
7度ー2度
8度ー1度
_____
いずれも度数の合計が
9度となる
音程名の相互関係
【元音程】ー【転回音程】
完全ー完全
長ー短
短ー長
増ー減
減ー増
重増ー重減
重減ー重増
_____
完全音程を除き
長・短・増・減が入れ替わる
問題7)次の音程を答えよ
問題8)次の2音の元の音程と転回音程を答えよ
長内阿由多講師
- 音程(1) ~度・完全音程~
- 音程(2)~長音程・短音程~
- 音程(3)~変化記号の付いている二音間の音程~
- しっかり覚えたい!3つの短音階(自然・和声・旋律)の違い
- 出来てる人ももう一度確認!サックスの組み立て方