ポピュラー音楽を演奏するためにはコードの知識が必須です。
ピアノやギターの場合は視覚的にも聴覚的にもコードがどのような構造になっているかがわかりやすいのですが、サックスのような旋律楽器の場合はなかなかコードについて理解がしにくいです。
そこで、旋律楽器をやっている人がコードについて理解するには音程(Interval)についての知識が必要です。
ここで言う音程というのは「2つの音の高さの隔たり」つまり「2つの音の距離」を表しています。
コード、さらにはアドリブが出来るようになりたい方は必ずこの分野をマスターしましょう。
度(Degree)
上で述べているように「2つの音の高さの隔たり」を「度」という単位で表しています。
※以下、音部記号は全てト音記号とする
1度
この度という単位は同じ高さの音同士である「1度」から始まっています。
0からのスタートではありませんのでその点に注意です。
2度
一つ音が離れると「2度」となります。
ここで注意が必要なのが
この場合も「2度」になるということです。
音程(度)は音と音の隔たりを表していますので、向きは関係ありません。
上向きであろうと下向きであろうと同じ音程として扱います。
3度
音が2つ離れると「3度」となります。
この譜例のように3度の幅になるためには音が3つ必要と最初は考えても良いかもしれません。
1度~8度・・・単(単純)音程
以下、4度からも同じことが続きます。
8度(1オクターブ)までの音程を特に単(単純)音程と言います。
ここの例では全て「ド」の音からの距離を示していますが、他の音からスタートしても同じです。
例えば
このような場合も2度です。
音程は何の音が起点になっていても関係ありません。
また、度数のみを扱う段階では半音であろうが全音であろうが関係ありません。
ドーレ(全音) は 2度ですし ミーファ(半音) も2度です。
それではここでいくつか問題を解いて感覚的に覚えていきましょう。
問題1)次の2音間の音程を答えよ。
例
(1)
(2)
(3)
(4)
(5)
(6)
(7)
(8)
補足)複(複合)音程
響き方の違いによる分類
先ほど音の隔たりを「度」という単位で示しましたが、それがさらに細かく分類されていきます。
完全音程系列
まず大きく2つに分類すると完全音程系列と長・短音程系列に分類されます。
完全音程系列 1度・4度・5度・8度
長・短音程系列 2度・3度・6度・7度
以下詳しく見ていきましょう。
まずは完全音程系列です。
【完全1度】
まったく同じ高さの2音間の音程を
完全1度
と言います。
ここで一つ確認しておきたいのが、音程には変化記号(♯・♭)がついていても同じ「度数」とみなすというルールがあるという点です。
このドとド♯の音程はなんだと思いますか?
単純に音の距離で言ったら半音離れていますので2度かな?と思ってしまいがちなのですが、実はこれは1度なんです。
度数の概念においては♯や♭などの変化記号はひとまず考えません。
このような表記がされていても同じ1度とみなします。
ただしこの場合は完全1度ではなく増1度という音程になり、響き方の分類が変化します。
なので1度の音程でかつ、全く同じ二音であるもののことを特に完全1度と呼んでいます。
【完全4度】
ド-ファのような音程のことを
完全4度
と言います。
この完全4度についてもう少し詳しく見ていきましょう。
ドとファの間にはこのように
ドーレ 全音
レーミ 全音
ミーファ 半音
というように全音が2つと半音が1つ含まれています。
鍵盤でも確認してみましょう。
おわかりになるでしょうか?
ミーファは間に黒鍵が含まれていませんので半音の幅です。
このように全音が2つと半音が1つ含まれている4度のことを完全4度といいます。
【増4度】
変化記号(♯と♭)を使用しない2音間の音程に限定して考えるとします。
そうすると4度のパターンは以下のようになります。
この中にひとつだけ例外があるのがお分かりになるでしょうか?
一つ一つ見ていきましょう。
【ド-ファ】
これは先ほども見ましたが全音2つに半音一つで完全4度です。
【レーソ】
全音2つに半音1つで完全4度です。
【ミーラ】
全音2つに半音1つで完全4度です。
【ファーシ】
全音が3つ、これだけが例外です。
この音程は完全4度より半音拡張された増4度と言います。
念のため他の物も見てみましょう。
【ソード】
全音2つに半音1つで完全4度です。
【ラーレ】
全音2つに半音1つで完全4度です。
【シーミ】
全音2つに半音1つで完全4度です。
というように、ファーシの音程だけが増4度、他は全て完全4度という音程で4度は構成されています。
【完全5度】
ドーソのような5度音程を
完全5度
といいます。
これについても詳しく見ていきましょう。
このように完全5度は
全音3つと半音1つ
で構成されています。
【減5度】
ここでも先ほどの完全4度と同じように、変化記号(♯♭)を用いない2音間に限定して考えるとします。
すると5度のパターンは以下のようになります。
ここで一つだけ違う種類の5度があります。
シーファの音程です。
このシーファの音程は半音2つ、全音2つで構成されています。
つまり完全5度に比べ2音間の距離が半音一つ分縮小されています。
このように完全5度より半音狭い音程を減5度といいます。
ここでお気づきになられたでしょうか?
左が増4度、右が減5度です。
両方ともファとシの音で構成されています。
なので、初歩の段階では4度と5度の音程においてシとファが出てきたら注意すると良いですね。
ちなみにこの増4度と減5度はトライトーン(三全音)とも呼ばれています。この言葉も覚えておきましょう。
【完全8度】
1オクターブ違いの同じ音の2音間の音程を
完全8度
と言います。
これもやはり
これらの2音間の音程は同じ8度として扱います。
これらの音程はそれぞれ
半音拡張されているものは増8度
半音縮小されているものは減8度
と言います。
【減音程↔完全音程↔増音程】
完全音程と増音程、減音程の関係をまとめると下の図のようになります。
それでは問題を解いて理解を深めましょう。
問題2)次の二音間の音程を答えよ
この記事の執筆者
長内阿由多講師
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