お料理教室の先生をやっているという方とお話をした時のことなのですが、「お料理を作って満足してしまってそのあとのお片づけをせずに帰ろうとしてしまう方がたまにいます。お片づけはとっても大事なんです!きちんとお片づけが出来ていれば次のお料理がスムーズに出来るんです。」とおっしゃっていました。
そのお話を聞いてサックスも同じだなーと思いました。
楽器をしまう時にしっかりと掃除とメンテナンスが出来ていれば次に使う時に気持ちよく使うことができますし、楽器の調整にかかる費用も少なく済みます。
ぜひここでサックスのしまい方・掃除の仕方・メンテナンス方法をおさらいしてくださいね。
まずは管内の水分を掃除しましょう
まずは楽器の本体の中の水分を掃除します。
ここではクリーニングスワブという紐のついた布を使っていきます。
この作業をするときは楽器ケースを開いてその中でこのように立てて作業をすると滑らなくてやりやすいと思います。
このクリーニングスワブには片方に重りの付いた紐がついていますのでそちら側をベルから入れます。
そしてほとんどの布を中に入れていきますが、この画像のように少し布を出しておいてベル(ラッパになっている部分)と一緒に掴みます。
そして楽器をひっくり返します。
そうすると紐が反対側から出てきます。
これはクリーニングスワブの布を少し出しておいてベルと一緒に掴んでおくのがポイントです。
こうすることでスムーズに反対側から出やすくなります。
紐が反対側から出てきたら両側の紐をしっかり掴んでおいて布を管内で行ったり来たりさせて中を掃除します。
4~5回往復させたら十分でしょう。
最後にベルの方から引き抜いてこの作業は終わりです。
ソプラノサックスの場合特に注意したいのが必ずベルからスワブを引き抜くという点です。
こうしないと、スワブが中で詰まってしまい抜けなくなってしまいます。
無理やり引き抜こうとすると楽器の変形を招く恐れもありますので、自力でどうしようもなくなったら楽器屋さんに持って行ってください。
アルトサックスやテナーサックスでも詰まらないとは言い切れませんのでベルの方から必ず引き抜くようにしましょう。
楽器本体に黒いキャップをはめケースに一旦しまう。
楽器を出すときについていた黒いキャップを覚えているでしょうか?
この黒いキャップは「エンドプラグ」というそうでネックについているオクターブキーを押し上げるバー(黒いゴムの付いてる部分)を保護する為に取り付けます。
楽器をしまう時は必ずこのエンドプラグをはめてしまいましょう。
もしなくしてしまっていましたらこれだけを購入することもできます。
楽器によって形状が異なりますのでご確認の上ご購入ください。
ネックにクリーニングスワブを通すのですが要注意!!
次にネックの部分にもクリーニングスワブを通します。
このクリーニングスワブですが、マウスピース・ネック用として小さいサイズのものが販売されていますし、YAMAHAのSAXのお手入れセットの中にも入っているのですが、はっきり言ってこれは必要ないと思います。
小さいものだと両方に紐がついていなくこのネックに無理やりスワブを通そうとして逆に詰まらせやすいです。
先ほども述べましたがスワブを管内に詰まらせてしまった場合、無理やり引き抜こうとするのは大変危険です。
なので通常サイズのクリーニングスワブでネックの管内を行ったり来たりさせて、最後は入れた方から引き抜くのが安全だと思います。
スワブを入れる時も口の広い側(下側)から入れてあげると良いと思います。
先にリガチャーをしまっておきましょう。
次にマウスピースを分解し掃除をしていきますが、リードをはずし水分を拭ってケースにしまったら、マウスピースにスワブを通す前にリガチャーをキャップの中に入れておきましょう。
リガチャーをそこらへんに置いておくと何かの拍子に踏んづけたりして変形させたりしかねません。
リガチャーをとりあえずキャップの中にいれておきましょう。
マウスピースにスワブを通します
次にマウスピースにスワブを通します。
この作業はそんなに念入りにゴシゴシやる必要はありません。
なぜならこの作業による長年の摩耗によりマウスピースの形が変わってしまう恐れがあるからです。
水分が適度になくなる程度で構いません。
マウスピースの外側の汚れは普通に水で洗っても良いですし、マウスピースクリーナーというものを使用しても良いでしょう。
ところで、このマウスピースの上の歯が当たる部分なのですが、この部分が滑ったりマウスピースに傷がつくのが嫌だという方はマウピースパッチというクッションを貼ってあげると良いと思います。
歯の当たる部分にこのマウスピースパッチが貼ってあれば良いので、先端ギリギリに貼る必要はありません。
むしろ、あまり先端ギリギリに貼ってしまうと剥がれやすくなりますので少し余裕を持たせましょう。
マウスピースをキャップの中にしまいます
マウスピースをキャップの中にしまいます。
先ほどリガチャーをキャップにしまいましたのでそれに差し込めばOKです。この場合向きはどのようでも構いません。
本当は、いらないリードを噛ませておいたほうがリガチャーの変形を防げるようなのですが・・・面倒くさがりの私はやっていません。。。
ちょっと面倒だけど・・・必ずやった方が良いクリーニングペーパー
楽器のトーンホール(キーの穴の部分)を塞ぐ部分をタンポと言ったりパッドと言ったりするのですが、その部分が水に弱いのでクリーニングペーパーで掃除をしてあげます。
やり方としてはタンポにペーパーを挟んでパタパタと何度かキーを動かしてください。
そうすると水が付いてきますので水分がなくなるまでやりましょう。
タンポが閉じた状態でペーパーを引き抜くと、紙の繊維がタンポに付着してしまう場合がありますので必ずタンポが開いた状態でペーパーを引き抜きましょう。
この作業は正直言ってちょっと面倒くさいですが、楽器のメンテナンスの時に実は一番お金がかかるのがこのタンポの交換代なんですね。
なので毎回やるのは楽器の上の方のタンポだけで構いませんので必ず行うようにしましょう。
タンポがベトつく時は・・・パッドガード
きちんとクリーニングペーパーで掃除をしていてもタンポがべとついて動きが悪いときや開かないというときがたまにあります。
そんな時はパウダーペーパーというペーパーで粉を付けてベトつきを解消するという方法もあるのですがそれよりもパッドガードという液状の物を塗ってあげたほうが確実だと思います。
これを塗ってあげるとほぼ100%ベトつきは解消されます。
また消耗もあまりしませんのでこれは是非持っておいた方が良いと思います。
楽器の表面もたまには磨いてあげてください。
これは毎回やる必要はありませんが時間に余裕がある時は楽器の表面を磨いてあげましょう。
専用の布が販売されています。
汚れがひどいときやツヤを出したい時などはラッカーポリッシュという液体をポリシングクロスに含ませて磨いてあげると良いでしょう。
ただ、これはあまりやりすぎると楽器のラッカーを傷つける可能性もありますのでたまにで良いです。
細かいところの汚れにはトーンホールクリーナー・・・ですが
楽器の細かいところの汚れにはトーンホールクリーナーを使うと良いそうです。
これは折り曲げて画像のような感じで使用します。
ただ・・・これって手芸用の「モール」ってやつと何か違うんでしょうか?
トーンホールクリーナーは6本入りで445円、モールは120本入りで399円・・・。
これはまだ試したことがないので今度試してみようと思います。
そして、これならそもそも綿棒でいいじゃないかという疑惑も。
リペアマンに聞いたところ「綿棒の方が楽器に傷をつける」とのことですが、このモールも中に針金が入ってるのでそんなに変わらないと思いますが・・・どうなんでしょうか。
YAMAHAのお手入れセットって不要なものばかりじゃないですか?
初心者の方が良く購入されるYAMAHAの管楽器お手入れセット(SAX用)なのですが、中には不要な物も多いような気がします。
【お手入れセットの内容】
- キイオイルヘヴィー(8ml)・・・不要。メンテに出せばオイルは差してくれる。
- ポリシングクロスM ・・・必要。
- クリーニングスワブS ・・・不要。大きいのだけで十分。
- クリーニングスワブSAX ・・・必要。
- ペーパーセット ・・・クリーニングペーパーだけでOK。別途パッドガードを購入。
- トーンホールクリーナー(3本) ・・・綿棒でいいような。オクターブキーのトーンホールの掃除は初心者はやらないほうが良い。
- ウォーターシート1P ・・・最も不要。サックスはそんなに滴るほど水が出ない。
- 巾着袋 ・・・不要。必要であれば100均で購入。
-
取扱説明書・・・ネットで検索でおk。
うーん・・・残念ながらほとんど不要品だと思います。
そして逆に肝心な物が入ってないような気がします。コルクグリスやマウスピースパッチは必需品ですよ。
以下に購入した方が良いものを必要度に分けてまとめてありますのでご覧下さい。
【必需品。必ず用意しましょう。】
【出来れば購入してほしいが必需品ではない】
【お好みで購入】
最後に・・・楽器をメンテナンスに半年に1回は出しましょう。
最後になりますが、日頃丁寧に扱っていても楽器のキーのバランスなどはどうしても狂ってきます。
タンポの閉じ方によっては音が満足に鳴らなくなってしまうこともよくあります。
楽器を調整に半年~1年に一回は必ず出すようにしましょう。定期的にメンテナンスに出しておけば費用もそんなにかかりません。
面倒くさいと思うかもしれませんが大事な楽器なのでマメに行ってくださいね。
以上がサックスのしまい方・お手入れ方法でした!