本日はサックスの歴史のpart.2として、ジャズ黎明期でのサックスの使用についてを書いていこうと思います。
全2回でこのシリーズは終わろうと考えていましたが、とても終わりそうにありません。
ということでしばらくこのシリーズは続けていこうと思います。
ラグタイムでの使用
20世紀への変わり目にアメリカでサクソフォーンが普及したのと同時に、ラグタイム音楽が台頭しました。
ラグタイムを演奏するブラスバンドの中で最もよく知られているのは、W・C・ハンディとジェームズ・リース・ユーロップが率いるサクソフォンを含んだバンドでした。
↑W・C・ハンディのバンドの録音。
1922年に録音されたものとYouTubeの概要欄には説明がありました。
ヴォードヴィルショーでの使用
ラグタイムの人気に続いて、1920年代にはダンスバンドが台頭しました。
サクソフォーンは同時期にヴォードヴィルショーでも使用されました。
(※ヴォードヴィルショー ・・・舞台での踊り、歌、手品、漫才などのショー・ビジネスを指す)
✔ルディ・ヴィードフ
昨日マルセル・ミュールというフランスのクラシックサクソフォンのパイオニアについてご紹介させていただきましたが、ミュールの少し前にの時代にも素晴らしい奏者が存在していました。
ルディ・ヴィードフというジャズ黎明期のアメリカのヴォードヴィルショーで活躍していた人です。
ルディ・ヴィードフは、「サクソフォンのクライスラー」と呼ばれ、この時期に最も有名なサクソフォン奏者となりましたがなぜか彼の死後人々から忘れ去られました。
↑こちらがルディ・ヴィードフの演奏。非常に技巧的で軽やかな演奏です。
近年では日本のクラシックサクソフォン界の第一人者の須川展也さんなどがルディ・ヴィードフの曲をレパートリーとして取り上げたこともあり、彼の音楽を耳にしたことをある方もいらっしゃるかもしれません。
私も、ルディ・ヴィードフの曲だと認識はしていませんでしたが、聴いたことがありました。
ダンスバンドでの使用
1920年代初頭にダンスバンドに広く採用されたことがきっかけでジャズにおいてサクソフォンが台頭していきました。
1923年に結成されたフレッチャー・ヘンダーソン・オーケストラは、即興演奏を取り入れた演奏を大規模なダンスバンドに取り入れました。
それに続き、デューク・エリントン・オーケストラやジーン・ゴールドケットのビクター・レコーディング・オーケストラでは、サクソフォンやその他の楽器を使ったジャズのソロの演奏を披露しました。
✔スウィング・ジャズ
ダンスバンドとジャズの結びつきは、1930年代のスウィング・ミュージックで頂点を迎えました。
その当時数々のスウィング・ジャズの楽団がありました。
主に人気のビッグバンドとしては
- ベニー・グッドマン
- デューク・エリントン
- カウント・ベイシー
- グレン・ミラー
らのバンドが有名です。
↑デューク・エリントン楽団のA列車で行こう
↑グレンミラーオーケストラのIn the Mood
✔コールマン・ホーキンス
初期のジャズの演奏スタイルにおいて、最も様々なサックス奏者に影響を与えたのがコールマン・ホーキンスです。
コールマン・ホーキンスは、1923年から1934年にかけてフレッチャー・ヘンダーソンと共演した際に、テナーサクソフォンをジャズのソロ楽器として確立しました。
ホーキンスのアルペジオ、豊かな音色、ビブラートを多用したスタイルは、レスター・ヤング以前のスウィング時代のテナー奏者に大きな影響を与えました。
コールマンホーキンスの演奏するBody And Soul。
コールマン・ホーキンスの演奏する「ジェリコの戦い」
✔レスター・ヤング
レスター・ヤングはチャーリー・パーカーなどの多くのミュージシャンたちから目標とされたテナーサックス奏者です。
カウント・ベイシー楽団に所属したレスターは、当時テナープレイヤーのスターとして君臨していたコールマン・ホーキンスのアグレッシブな演奏とは正反対の、ソフトな演奏スタイルで人気を得ていきました。
↑カウントベイシー楽団でのレスターヤングの演奏
↑互いに「プレス」「レディ」と呼び合い、たびたび共演したビリー・ホリデイとの「ALl of Me」
チャーリー・パーカーによるビバップ革命とアルトサックス
ここでジャズとサックスにおける最も重要な人物のチャーリー・パーカーの登場です。
チャーリー・パーカーが登場する以前に、コールマン・ホーキンスやレスターヤングの活躍でサクソフォンはジャズにおいてトランペットに匹敵するほどの影響力を持つようになっていました。
そしてその数年後、アルトサクソフォン奏者のチャーリー・パーカーがビバップのアイコンとなった時にサクソフォンはジャズに、そして音楽に最大の影響を与えました。
↑チャーリー・パーカーの演奏するドナ・リー
この曲をマイルス・デイヴィスは「自分が作曲した」と自伝などで言っているようですが、チャーリー・パーカーが作曲したという説が現在では有力のようです。
現在、出版されている楽譜の大半にはチャーリー・パーカーが作曲と記載されています。
作曲者が誰かわからないなんて、なんともおおらかな話ですね(笑)
✔チャーリー・パーカーに影響されたミュージシャン
あまりに多すぎるので、今回は明日以降の記事で登場しない方々をご紹介します。
まず、皆さんにもおなじみの矢野沙織さん。
演奏スタイルがパーカーのコピーという感じなので、近年では最もわかりやすいかもしれません。
この動画ではチャーリーパーカーのアドリブフレーズも一部コピーしていますね。
そして、ベーシストにも影響を与えています。
↑ジャコパスのドナリー
チャーリー・パーカーのことを書いていたらそれだけで終わってしまいますので本日はこれくらいにしておきますが、サックスという楽器を世間一般に広めていった一番の功労者かもしれません。
私自身もチャーリーパーカーをよく聞いていた時期があります。
特にこのCDは何回も聞きました。
チャーリーパーカーは数々のレコードを残しましたが、中でも最も有名なものの一つがこの「Now's the time」だと思います。
ということで本日は以上となります。
明日は1950年代以降のサクソフォンの歴史について書きたいと思っています。
初心者の方でも楽器の持ち方から丁寧に指導させていただいております。
またネットからの申し込みの場合は入会金が通常1万円のところを半額の5000円にさせていただいております。
1回のみの受講も可能ですのでぜひレッスンにお越しください。
レッスンの詳細についてはこちら
関連記事
www.osanaimusicschool.com Blog Feed
コルトレーンの生涯 【サックスの歴史part.5】>> 続きを読む
ミュールの弟子たち・日本の黎明期のサックス奏者【サックスの歴史part.4】
>> 続きを読む
様々な編成でのサクソフォンの使用、1940~1950年代ジャズのサックスプレイヤーたち【サックスの歴史part.3】
>> 続きを読む