皆さんこんにちはサックス講師の長内(オサナイ)です。
昨日、私のYOUTUBEチャンネルに久保田利伸さんの代表曲である「LA・LA・LA Love Song」をサックスで演奏したものを投稿させていただきました。
今回使用した譜面と音源はSAXの専門誌である「THE SAX」という雑誌を出版しているALSO出版から出版されている「THE SAX Greatest Hits」という曲集のものを使用しました。
実は私自身4年ほど前にも同じものを録音して投稿したのですが、今回ブログで解説をさせていただくにあたって改めて録音して投稿してみました。
この「THE SAX Greatest Hits」という曲集のシリーズは非常に難易度が高く難しいので私の生徒さんからもよく、この曲集に対する半分クレームのような相談を受けたりすることがあります。
しかし、難易度が高い分しっかりと演奏したときには非常にカッコ良いアレンジになっています。
今回、この記事では以下の点を解説していきたいと考えています。
- 様々な種類のアーティキュレーション・装飾音符の演奏方法についての解説
- 譜面に書かれていないがカッコよい演奏にするためのコツ
- 早いフレーズの練習方法
以上3つの点についての解説となっています。
では早速順を追って解説していきます。
LA・LA・LA Love Songの演奏動画です
1.様々な種類のアーティキュレーション・装飾音符の演奏方法について
1)ベンドアップ
ベンドアップというのは高さの音に入る前に、その音よりちょっと低い音からしゃっくってしゃくって入る演奏技法です。
歌でも高音でしゃくる歌い方ってありますよね?
それをサックスでやったものがベンドアップです。
やり方としては2種類あります。
- 指でやる方法
- 口で半音くらい下げた音から入り基準の音に戻す方法
この曲集ではこの2つのどちらの方法でやるかが丁寧に記譜してあります。以下の譜例をご覧ください。
この譜例で言うと①のものはおそらく「指でやるように」という指示。②のものはおそらく「口でやるように」という指示です。
ここで「おそらく」と書いたのは、この記号にはしっかりと定まった決まりが存在していないからです。
ただ、上記のような演奏方法を指示している出版物が多く存在しているため、今回はそのように演奏させていただきました。
実際の演奏はこの動画のようになります。
この部分だけ聞くと少々わかりにくいのですが、譜例①の部分では半音下のミbの音から指を動かしてミの音に入っていて②の部分では口でベンドアップをしています。
2)プラルトリラー
この記号の本来の意味は記号の付けられた音→その一つ上の音→記号の付けられた音と演奏する装飾記号です。
なので、この譜例の場合ですとド→レ→ドと素早く演奏します。
ただしこの曲の場合ですとプラルトリラーの指示通りに演奏するのが困難、もしくはあまりカッコよくない場合もありましたので、私はこの指示通りには演奏していません。
プラルトリラーは三か所出てきますが、楽譜の指示通りに演奏しているのは最後の134小節目(譜例の箇所)の部分のみです。
3)ベンドダウン、グリッサンド
【ベンドダウン】
まずベンドダウンについては先ほど1)で説明したベンドアップの逆バージョンです。
これも口で音程を変えるものと指で下げるものがあります。
どちらを選択しても構わないとは思いますが、私は次の音に移るまでの時間があまりないときは口で下げて、比較的時間があるときは指でやっています。
例えば上の例の場合は次の音に行くまでに八分音符分の時間しかありませんので口で下げます。
こちらの譜例の場合は次の音に行くまでに1.5拍の余裕がありますので指で下げていきます。
【グリッサンド】
次にグリッサンドについてですが、上記で示した指で行うベンドダウンとやり方としては同じです。
上記の譜例の場合ですとシからソの音までの移動ですので半音階で入れています。具体的に譜面にすると以下のようになります。
ここでグリッサンドをやる上で一点気を付けてほしいのですが、グリッサンドをやるときはなるべく素早く、そしてグリッサンドの到達点の音に引き付けて音を入れてください。
ここでいうとシからソに向かって一拍の間にグリッサンドを入れるわけですが、譜例のように最初のシの音をのばすことに0.5拍の時間を使っています。そしてグリッサンドでシbラbソ#と移動している箇所は3つ音が入っていますがこれを残りの0.5拍の中に入れるんですね。
グリッサンドもベンドダウンもあくまでフレーズの中で飾りとして使用しますので、譜面に書かれている音符をしっかりと吹いた上で装飾は素早く行いましょう。
4)装飾音符
最後が装飾音符です。
この譜例のように小さくおまけのように書かれている音符のことを装飾音符と言います。
この譜例でいうとこの装飾音符のシbを付いているラの音にひっかるように素早く吹いて演奏します。
さきほども申し上げた通りあくまで主役は装飾音符のついているラの音ですので、できる限り素早く演奏してください。
2.譜面に書かれていないがカッコよい演奏にするためのコツ
譜面には書かれていませんがこの曲のような比較的ノリのいいR&Bもしくはソウルの音楽を演奏する上で演奏するコツというのがいくつか存在します。
- 音の出だしをはっきり吹く
- 休符の前の音は余韻が出ないようしっかりと止める
- 曲の中で強弱を付けすぎない
ここで書かれている項目は吹奏楽経験者のような方で、どちらかというとクラシックの演奏法を学んだ方がポピュラー音楽を演奏する上で気を付けるポイントです。
なのでこの項目ではそのような方向けに解説をしていきます。
1)音の出だしをはっきり吹く
はっきり言ってこれが出来ていればかなりカッコよくなると思います。
吹奏楽ではどちらかというと、ふんわりとした音の出だしで演奏することが多かったと思いますが、このようなビート感が強い音楽では一旦それはやめましょう。
全てのフレーズの音の出だしに強めのタンギングをするようなイメージで構いません。ハッキリと音を出しましょう。
2)休符の前の音は余韻が出ないようしっかりと止める
これは時と場合によるのですが、かならずやってほしいのはこのような譜例の時です。
この赤い〇で囲った部分ですね。この音は余韻を付けてはいけません。そして音を減衰させてもいけません。
舌でリードの先に触れ、音を止めてください。そして次の8分休符では息を止めていてください。
3)曲の中で強弱を付けすぎない
これもやってしまいがちなのですが、ポピュラー音楽で曲の中で大きく強弱を付けてしまうと非常におかしなことになってしまいます。
ただ、誤解しないでいただきたいのですが、まったく強弱がないかというとそういうわけではなくやはりAメロBメロに比べたらサビの部分の音量は大きくなります。
ですが、その違いはクラシックの感覚で言うとせいぜいメゾフォルテとフォルテくらいの違いです。
これをppとffくらいの差をつけてしまうとおかしなことになります。
割と一定のテンションで演奏するくらいの感覚でポピュラーは演奏しましょう。
3.早いフレーズの練習方法
これに関しては実はすでに一度ブログで記事にしていますのでそちらをご覧いただけると幸いです。
速いフレーズすぎて指が回らない!!と諦める前にやってみるべき6つの練習
かなり前に書いたブログなので文体が今とかなり違うので恥ずかしいのですが、お伝えしたい内容は今も変わっていません。
これに1つ付け加えるとしたら、この「LA・LA・LA Love Song」では難しいフレーズの中にもリズムが複雑な箇所もありますので、リズムもしっかりと確認しつつ練習をすると良いと思います。
リズムはなかなか譜面だけを見ていてもわかりにくい部分ではありますので参考音源を何度も聞いてタイミングをつかんでいってください。
これ吹けるとカッコいいですよ。モテますよ(多分)
以上がLA・LA・LA Love Song(久保田利伸)の演奏のコツでした。
最後にこの動画で使用している「THE SAX Greatest Hits」のアマゾンのリンクを貼っておきます。
ぶっちゃけて言うとこのリンクからご購入いただけると私に10円くらい入る仕組みになってるんですが、「こいつに金をやりたくないな」という方はアマゾンなり楽天なりで「THE SAX Greatest Hits」と検索すると出てきますのでぜひ見てみてください。
現在このシリーズは4冊出ていまして、それぞれ非常に難しいですが演奏できたらかっこいいアレンジになっています。
「サックスを頑張りたい」「カッコよく演奏できるようになりたい」「サックスでモテたい」という方はチャレンジしてみて損はないと思います。
それでは本日の記事は以上です。
ここまでお読みいただきましてありがとうございました。
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演奏に使用しているセッティング
マウスピース
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楽器
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