本日の記事の前半では、サクソフォンが使われている様々な編成について解説していきます。
そして後半では1940年代~1950年代のジャズにおけるサックス奏者についてご紹介していきます。
様々な編成でのサックスの使用
1.軍楽隊での使用
サックスは、はじめは軍楽隊で人気となりました。
フランスやベルギーの軍楽隊ではいち早くサクソフォンを編成に取り入れていきました。
フランスやベルギーの軍楽隊では少なくとも
- バリトン
- テナー
- アルト
- ソプラノ
の4人組のサクソフォンを編成に含んできました。
これによりバリトン~ソプラノまでの4つのサクソフォーンが最も人気があり実用的であることが示されました。
E♭コントラバスは非実用的な大きさであり、B♭バス及び、E♭ソプラニーノも滅多に使用されることはありません。
↑コントラバスサックス
私も実物は見たことがありません。
✔ギャルド・レピュブリケーヌ吹奏楽団
フランスの軍楽隊といえば「ギャルド・レピュブリケーヌ吹奏楽団」という楽団がとても有名です。
フランスの「ギャルド・レピュブリケーヌ吹奏楽団」の演奏。
「ギャルド」はフランス国家憲兵隊の共和国親衛隊に所属している軍楽隊です。
2.吹奏楽での使用
日本では、サックスが吹奏楽で使用されているということを、皆さんよくご存知のことかと思います。
私自身、中学・高校と吹奏楽部に入っていまして、そこでサックスという楽器に触れるきっかけとなりました。
吹奏楽という演奏形態は特に厳密な編成は決まっていません。世界各国に様々な編成の吹奏楽団があります。
例えば、前述の「ギャルド・レピュブリケーヌ吹奏楽団」には管弦楽の編成をとることができるように弦楽器奏者を加えています。
日本では「日本吹奏楽指導者協会」という団体が標準編成案を出していまして、それを基準に吹奏楽団は編成しています。
その中にもちろんサックスは含まれています。
日本のプロ吹奏楽団の東京校正ウィンドオーケストラ
✔日本の学校教育における吹奏楽
日本では毎年、全日本吹奏楽コンクールが開かれており、学生達はそれに向けて日々努力を続けています。
もちろん、私も学生時代はコンクールに向けて練習に励んでいました。
3.サクソフォン四重奏
「ギャルド・レピュブリケーヌ吹奏楽団」にはかつてマルセル・ミュールが所属していました。
このギャルドのサックスのメンバーで「ギャルド・レピュブリケーヌ・サクソフォン4重奏団」結成しました。
この四重奏団に対して、多くの著名な作曲家から曲の提供をし、それがサクソフォン四重奏という編成のレパートリーの拡大につながります。
4.管弦楽での使用
1920年代ごろからサクソフォンが管弦楽で使用されることが多くなってきました。
ほんの一例ですが
- ムソルグスキー作曲/ラヴェル編曲「展覧会の絵」(1922年、ラヴェル版)
- ラヴェル作曲「ボレロ」(1928年)
- ガーシュウィン作曲「パリのアメリカ人」(1928年)
- プロコフィエフ作曲「ロメオとジュリエット」(1938年)
などがあります。
ムソルグスキー作曲「展覧会の絵」より古城のアルトサックスソロ
吹奏楽ではサクソフォンは通常編成に含まれていますが、残念ながらオーケストラには定席がありません。
なので、このようにサクソフォンが含まれた曲が演奏される際にのみ、エキストラとして外部からサクソフォン奏者を招き入れて演奏されます。
1940~50年代の著名なジャズのサックス奏者
チャーリー・パーカーやディジー・ガレスピーらにより「ビバップ」が誕生し多くの録音を残しました。
そして、ジャズの全盛期であった1950年代には様々な新しいスタイルのジャズが登場しモダン・ジャズの流れを作り出すことになります。
1940~50年代の様々なジャズのスタイル
✔ビバップ
マンネリ化したスウィング・ジャズに飽きた、あるいは、本来の即興演奏が好きなジャズの演奏家たちが、ライヴハウスや演奏主体の飲食店の閉店後に、ジャム・セッションをしていて、そこから発展し生まれたとされる。
(wikipediaより)
〇ビバップの代表的なアーティスト
- チャーリー・パーカー:サックス
- ディジー・ガレスピー:トランペット
- セロニアス・モンク:ピアノ
↑上記三人が参加したレコード。
✔クール・ジャズ
クール・ジャズ (Cool Jazz) とは、ビバップの反動として1940年代後半に生まれた、白人寄りの傾向をもつジャズのジャンル。ビバップの反動として奏法・展開などに抑制の効いたスタイルを持ち味とした。
(wikipediaより)
〇クール・ジャズの代表的なサックス奏者
- リー・コニッツ
残念なことに、今年の4月に新型コロナウイルスによって92歳で亡くなってしまいました。
彼の参加したマイルス・デイヴィスの「クールの誕生」がクールジャズの起源ともされているようです。
✔ウエストコースト・ジャズ
ウエストコースト・ジャズ(West Coast Jazz)は、1950年代、アメリカ合衆国ロサンゼルスを中心とする、アメリカ西海岸一帯で演奏されていたジャズの総称。
(wikipediaより)
〇ウエストコースト・ジャズの代表的なサックス奏者
- ジェリーマリガン
ジャズ界で数少ないバリトン・サックス奏者。
ジェリーマリガンの代表作「ナイト・ライツ (Night Lights) (1963年)」
- ポール・デスモンド
テイク・ファイブが有名
- アート・ペッパー
日本でも非常に人気のあるアルトサックス奏者
代表作「Art Pepper Meets the Rhythm Section」は必聴
✔ハード・バップ
ニューヨークなどのアメリカ東海岸で、1950年代に始まり1960年代まで続いた演奏スタイルである。一般的なジャズサウンドのイメージはこのスタイルである。
「ビバップの発展過程での揺り戻し」「クール・ジャズやウエストコースト・ジャズ」のソフトなサウンドを嫌った黒人ジャズメンが創造した」「黒人のブルースフィーリングを熱く押し出したもの」と様々な形容がなされている。
(wikipediaより)
〇ハード・バップの代表的なサックス奏者
- ルー・ドナルドソン
ビバップやハードバップ、ソウルジャズのジャンルで演奏している。
評論家の方曰く、ルー・ドナルドソンが参加しているこの「バードランドの夜」というレコードがハードバップ誕生のアルバムだそうです。
- ソニーロリンズ
「セント・トーマス」が収録されている「Saxophone Colossus」が非常に有名。
ユニバーサル・ミュージック・ジャパンのレビューによると、このレコードは「50年代ハード・バップの一つの到達点」だそうです。
- ジョン・コルトレーン
ハードバップという枠のみではコルトレーンというサックス奏者をご紹介することはできないですが、コルトレーンも代表的なアーティストです。
ということで本日は以上となります。
それぞれの項目を掘り下げていくと、一つの記事ではとてもおさまりきらないため、非常に簡単なご紹介となりました。
明日はクラシックサクソフォンの著名な奏者をご紹介できたらと思っています。
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