こんにちは。長内です。
本日はまず基礎練習を行う前にチューニングを行います。
そして、次に今までの中で学習した中で、一番難易度が高くミスの起こりやすい「オクターブキーを押していない音から押した音への移動」の練習を行います。
この動きのことを「オクターブキーのまたぎ」と呼んだりすることもあります。
この動きをする時にちょっとした指の遅れで全く違う音が鳴ってしまうことがありますので、その原因と解決方法を説明していきます。
使用教材
楽譜の苦手な方でも基礎から確実にじっくりとサックスの演奏方法を学んでいける本です。
私のレッスンでは、初心者の方には必ずこの本を使って指導させていただいています。
この記事の対象の方
- 「サクソフォーン教本」を購入済み
- オクターブキーの操作方法を学習済み
- テキストのp.33までが終わっている
- オクターブキーをまたぐ動きはまだ練習していない
第10回目のレッスンの内容
- 基礎練習(チューニング・ロングトーン・タンギング)
- オクターブキーの操作方法のおさらい
- 練習曲7・2つのエラーの原因
- 練習曲8~12
この記事の執筆者
私、長内(オサナイ)は中学生の時にサックスを始めて、その後愛知県立芸術大学という大学でクラシックサックスを専門的に学びました。
卒業後はヤマハの大人向けのポピュラーミュージックスクールで講師として仕事をし、現在は私個人の音楽教室でサックスの指導をしています。
サックスの演奏歴は約25年です。
1.基礎練習(ロングトーン・タンギング)
本日の基礎練習では前回新しく学習した音域も含めて行います。
前回オクターブキーの操作方法を学習したことで音域が一気に広がりました。
指づかいとしてはオクターブキーを既存の指づかいにプラスするだけですので、今のところはそれほど煩雑な動きはありませんが、音域によって息の使い方や口の中の状態に変化が生じますのでそのすべての音域での練習が必要です。
また、今回から新しくチューニングという操作を行います。
✔チューニング
本日から楽器を演奏する前にチューニングを行います。
バイオリンやギターの奏者が演奏前に音を出しながら楽器のねじを巻いている姿を見たことはありませんか?
あれはペグというねじ巻きの部分を操作することで弦の張り加減を変えて、音程を調性しています。
サックスでもあれと同じようなことを行います。
【実音とは】
チューニングは基本的に実音Aの音で行います。
まず実音という言葉について説明します。
サックスは楽譜上の音と実際鳴っている音が異なるのはもうなんとなくお気づきかもしれませんね。
例えばアルトサックスはドの音を吹くとミの♭の音が鳴る楽器で、移調楽器と呼ばれています。(テナーサックス・ソプラノサックスはドの音を吹くとシの♭が鳴ります。)
なので実際のドの音を鳴らそうとすると、アルトサックスではラの音を鳴らす必要があります。
このようにサックスでは楽譜上の音と実際鳴っている音が異なります。
実際鳴っている音の方を「実音」と言います。
【チューニングは実音A(ラ)の音で行います】
チューニングを行う際はまずどれかの音1音だけ基準の音を聞いてその音に合わせていきます。
その際基準となる音が実音A(ラ)の音です。
- アルトサックスではオクターブキーを押したファ#の音
- テナーサックスでは人差し指のみを使う中音シの音
で行います。
【チューニングはマウスピースの抜き差しで行います】
それでは実際にチューニングを行いましょう。
チューニングを行う際、ギターなどはペグ(ねじ)を操作していますが、サックスではマウスピースの差し込み加減で操作をしていきます。
今回は音を聞いて合わせるのではなく、チューナーを見ながら行っていきましょう。
チューナーを見ながら実音Aの音を鳴らしてみてください。
チューナーの操作方法はこちらの記事を参照してください。
【高い時は抜く、低い時は入れる】
チューナーを見たときに針が真ん中に来ていないときは音程が合っていません。
- チューナーの針が右に来ている時は基準より高い音程です。その時はマウスピースを少し抜き気味にしましょう。
- チューナーの針が左に来ている時は基準より低い音程です。その時はマウスピースを少し入れ気味にしましょう。
マウスピースを入れたり抜いたりするのはほんのちょっとで結構です。
基本的にはマウスピースを入れる位置はコルクが1センチくらいあまる位置からは大きく逸脱しないようにしてください。
サックスはマウスピースの抜き差しでも音程は変化しますが、マウスピースのかみ加減でも大きく音程が変化します。
皆さんはまだ初心者ですので、アンブシュアが安定していないと思います。
このチューニングという行為では大体音程が合っていれば結構ですので、大きくマウスピースを抜き差しをしすぎないようにしてください。
✔ロングトーン
それではチューニングが終わったらロングトーンをしてみましょう。
今回は新しい音域が出てきましたのでチューナーは見ずにロングトーンを行っていきます。
以下のパターンでまず低音域を練習していきましょう。
低音域が終わったら次にオクターブキーを使用する音域でロングトーンを行います。
運指が合っているのに音がおかしな音が出るという方は
- 腹圧をしっかりとかけられているか
- 息のスピードは足りているか
という二点に気をつけてみてください。
✔タンギング
これもまずは低音域を練習しましょう。
そろそろ慣れてきたころだと思いますので、少しずつテンポを速くしていきましょう。
今回は♩=90のテンポで以下のパターンで練習してみましょう。
また、オクターブキーを押した音域でもタンギングを練習しましょう。
こちらは♩=72で構いません。
腹圧と息のスピードに気をつけましょう。
2.オクターブキーの操作方法のおさらい
✔もう一度操作方法をおさらいしましょう。
それでは、ここでもう一度オクターブキーの操作方法をおさらいしましょう。
前回確認したように、オクターブキーを操作するときは親指の先を常にオクターブキーの上にあらかじめ置いておくということがポイントでしたね。
- 横滑り
- 親指を浮かせる
といった動かし方をしないようにしてください。
親指の動かし方につきましては動画にもしましたので、以下の動画を参照してみてください。
3.練習曲7・2つのエラーの原因
✔まずは指だけで練習しましょう。
それでは本日の最重要課題のオクターブキーのまたぎについて練習していきましょう。
まず、練習曲7のaの課題を見てください。
オクターブキーを押したレの音とオクターブキーを押さないドの音の往復の課題となっています。
この時
- ドの音は「中指だけ」を押さえる
- レは「オクターブキー+右手、左手三本ずつの指」を使用
というように一気に指がたくさん動きますので、その動きに慣れましょう。
まずは指だけで練習をして、どのような動きになるかチェックしてみてください。
✔実際に音を出してやってみましょう。
次に実際に音を出しながら練習してみます。
さて、上手くいきましたでしょうか。
音がひっくり返るという時は二つの原因が考えられます。
✔音がひっくり返る原因1 オクターブキーが遅れている
まず、音がひっくり返る原因として考えられるのはオクターブキーの操作が遅れている場合です。
もしくはオクターブキーそのものの操作を忘れていませんか?
一度にたくさんの指が動きますので、どうしても親指の動きが遅くなってしまいがちです。
全ての指が同時に動くように心がけましょう。
✔音がひっくり返る原因2 左手の薬指が遅れている
ドからレの音に行くときにこのようなひっくり返り方をすることはありませんでしたでしょうか?
これは左手の薬指が他の指に比べて遅く動いていることで起こる現象です。
左手の薬指が少しでも遅れていると、高いラの音が鳴ってしまいますので、そのためまたぎの操作が上手くいかないことがあります。
オクターブキーをまたぐ際は左手の薬指を先に閉じるようなつもりで操作してあげると上手くいきます。
ここでは代表的なミスの原因を2つ挙げさせていただきましたが、この他にもオクターブキーの操作で起こりえるミスがいくつか考えられます。
過去の記事で詳しく解説をしてありますので、そちらも合わせてご覧いただけるとより理解が深まると思います。
真ん中のドからレの動きが上手くいかない!という人のための5つのチェック項目
それでは以上の点に気をつけながら練習曲7のa~cを演奏してみましょう。
また、ここでリピート記号という記号が出てきています(p.35の下部参照)
これは曲のはじめにもどり、同じ部分をくりかえして吹くという意味です。
なので、この課題につきましては2回ずつ行っていきます。
練習曲8~12
練習曲7を十分に練習したら、練習曲8以降も練習していきましょう
✔練習曲8
最初と最後の部分でオクターブキーのまたぎが必要です。
すでに低音域のドの指づかいを学習している方はレ→ドの動きの時に右手の小指を押す低音域のドの指づかいにならないようにしてください。
この音域のドの音は中指のみを押さえます。
✔練習曲9
アーティキュレーションにも注意が必要な課題です。
スラ―の切れ目ではタンギングを行ってください。
✔練習曲10
4分音符のタイミングでのオクターブキーのまたぎのトレーニングです。
全ての指が同時に動くように心がけましょう。
✔練習曲11
四分音符の動き、アーティキュレーションに注意が必要です。
注意することが多いので難しい場合は1小節ずつ練習してください。
✔練習曲12
この課題では全ての音にタンギングをつけます。
練習曲11よりこちらの方が易しいかもしれませんので、先にこちらから練習すると良いかもしれません。
以上で第10回目のレッスンは終了です。
このオクターブキーのまたぎの操作については、熟練した方でもミスの起こりやすい部分です。
ただし、ミスの原因は決まっていますので、まずはその原因を知り、今後上手くいかないときはそれを解決する方法を今回のレッスンで学習するようにしてください。
初心者の方でも楽器の持ち方から丁寧に指導させていただいております。
またネットからの申し込みの場合は入会金が通常1万円のところを半額の5000円にさせていただいております。
1回のみの受講も可能ですのでぜひレッスンにお越しください。
レッスンの詳細についてはこちら